1 post tagged “ウェグナー”
出来れば釘を使っていない家具、シンプルな家具、実際に使われていた良質な家具という
のが僕の家具を選ぶ基準だ。材質の特性と相性を考え、優れたデザインによって生み出さ
れた家具は素晴らしく良いのだ。
僕が気に入って実際に使っているのはハンス・ウェグナーの1950年代に製造された椅子で、
同型はリプロダクション(復刻)されていないものだ。無機質な、冷たい感じのスチール製の
椅子やケミカル素材で生成された摩訶不思議な形状にデザインされたものは、デザインが
先行しすぎていてなぜか気に入ることが出来ない。
制約があるなかから抽出された最小公倍数の必要美、そして実用性が良いものが良いの
だ。例えば、お金もあり広さもある家に住んでいたら好きな家具を何でも買えるのだが、し
かし1人で住んでいるのに椅子は12脚あって女王陛下の晩餐会に使われるようなテーブル
は必要ない。オーディオがあるのにヘッドレストにスピーカーが埋め込まれた安楽椅子も、
必要ではない。名前のあるデザイナーが作った椅子でも、座り心地が良くないなら、料理の
できない女房をもらって毎晩外食するのと変わらない(つまり、家にいる時間が減るのだ)。
先日あるTV番組でバイオリンのストラティバリウスの特集をやっていたが、その中で楽器の
職人がこんなことを言っていた。曰く、「楽器というものがいくら完璧に作られていても、それ
だけでは完璧にはならないのです。何千回、何万回と演奏されて、時間を経て次第に完成
されていくんです。」だそうだ。時間の経過によってしかもたらされないもの、一生足を踏み
入れないかもしれない国で誰かが買い求めて使っていた家具を使うことは、ある種の再利用
だし最近定着してきたロハス的行動だ。